トゥリマカ日誌(仮)

ジャカルタ暮らしの知恵、観光、グルメ、ファッション、カルチャー、子育てのこといろいろ。比較、体験、レポートします。

はじめに:ジャカルタ上京物語

わたしは東京都出身、一時期横浜や川崎で過ごして、今は東京。両親ともに代々東京。

東京は、話題の展覧会も映画もすぐみられて、便利で、刺激的。そんな東京で育ったことを誇りに思いつつも、東京は大嫌いだ。人が多すぎるし、すぐ景色が変わってしまうし、落ち着かない。引越しが多かったという個人の事情はあるにしても、自分が根無し草のような感じがする。子どものころ通った映画館や買い物をしたデパート、通学路、虫を捕りに行った公園、全部なくなっており街に思い出がない。

ずっとそんな東京から出て行ってみたいなと思っていた。みんな人生を変えに「上京」するのに、そういうタイミングがなくてだらだらとただ疲れる毎日が嫌だった。

 

子どももできて、仕事や自分の進路にも疑問を持ちはじめて、いよいよ東京がしんどくなってきていた。産後体調がうまく回復せず、自律神経失調症になったのも大きかった。薬も効かなくて日々どす黒くなっていくわたしに、医者は「仕事を休めないですか」と言う。仕事を休むには、やっぱり東京を出るしかない。東京で無職なんかやってたら、よけいに病むから(これも前科あり)。

 

さいわい、貯金がそれなりにたまっていた。30代、折り返し地点だ。一回休んでみるのもいいんじゃないかな、と思った。仕事柄、1年くらい休んでもお互い問題ないことはわかっていた。問題は子どもだけ。やるなら、子どもが義務教育に上がる前の今だ。

 

さっそくその晩、夫に「人生の夏休みをとらないか。金ならある」と持ち掛けた。このとき語ったプランは、台湾で、家族で短期留学。仕事はやめて、大学で中国語を学びながら、半年~1年くらい家族でのんびりしようというものだ。こっそり大学とかも調べてあった。夫が中国語より英語がいいよと言うならフィリピンかなとも考えていた(あ、わたしアジアが好きなんです)。とにかく「ちょっと休みたい。海外に行きたい」と伝えた。

 

そのとき夫がどんな返事をしたかは正直あまり覚えていない。でもその数日後、夫からLINEが入る。

ジャカルタでもよい?」

正直、夫にも休んでほしかったのだけど、ちょうど話をもらいつつも「海外は無理だよ」と断っていた案件があったらしい。「悪いけど、わたしは休ませてもらうからね!!」と念を押して、めでたくジャカルタ行きが決まったのでした。

 

ビザの取得に時間がかかってしまい、わたしは会社を辞めそびれたりもしたが、そんなこんなで2018年9月、人生を変えたくジャカルタに「上京」しました。